☆リポーター:大久保ともゆき
河村循環器病クリニック…神戸市灘区
○大動脈破裂胸腔内出血…大動脈が破れて胸の中で内出血する
“大動脈”はどこにある?
・心臓の左心室から出てまず上に伸び、カーブを描いて下に向き
おなかの下のほうまで続く人間の血管の中で最も太く重要な血管
・心臓から送り出された血液が大動脈によって全身に運ばれる
・大動脈の壁は3層(外膜・内膜・中膜)からできている
大動脈が破れると?
・大動脈は元々はなかなか破れない強い血管
・年を重ねると血管が弱くなる
・場合によっては大動脈瘤や大動脈解離が起こる
大動脈瘤…大動脈内に血のかたまりができて「コブ」のようになる
大動脈解離…外膜と内膜(中膜部分)に血がたまる
「大動脈瘤」が起こる仕組み
・年を取って血圧が上がってくると、血圧によって血管(大動脈)が膨らんでくる
・一番弱いところが大きく膨らんでくる
・風船を膨らませるのと同じで、大きくなるにつれて外側の壁が薄くなり、
最後は破裂を起こす
・破裂を起こす前の状態のときにはほとんど症状がない!
大動脈瘤のごくまれな症状
・大動脈瘤が声帯を圧迫して「しわがれ声」になる
・腰の神経を刺激して腰が痛む
・“偶然に”見つかることが多い(他の病気で診察を受けたときなどに)
・レントゲンなどで見つかることもある
・大動脈瘤ができていて、まったく病院にかからないまま
長期間放置していると、ある時いきなり破裂するかも
「大動脈解離」が起こる仕組み
・大動脈の壁は内膜・中膜・外膜でできている
・「中膜」の部分に血腫(血のかたまり)ができる→背中の痛み
大動脈解離を放っておくと…
・中膜の部分に血腫(血のかたまり)ができる(毛細血管から出血)
→痛みはそれほど強くない
・内膜が破れると一気に血腫が大きくなり、外膜も破れる可能性
→猛烈な痛み
・内膜が破れると…「背中が痛い」どころの騒ぎではなく、
のたうち回って声も出せないほどの状況に!
・ひどくなると丈夫な外膜まで破れて高い確率で死亡
大動脈の壁に血のかたまりを作ってしまう原因は?
・タバコを吸っている人は毛細血管が非常に弱くなっているので出血しやすい
・タバコを吸うと高血圧になりやすい→大きなリスクのひとつ
高血圧の人は何を控えるべき?
・塩分を多く取ると…血管が固くなって、どうしても血液を流すのに
圧力が必要になり血圧が上がる
・ミネラル摂取(マグネシウム・カリウム)を摂る
マグネシウムを含む食品
…そば、のり、ひじき、豆、ごこく、豆腐、抹茶、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけ、昆布、牡蠣、芋、納豆、とうもろこし、果物
覚え方→“そばのひ孫と孫は優しい子かい?納得”
カリウムを含む食品…パセリ、アボカド、ほうれん草
大動脈瘤や大動脈解離を防ぐためには…
@日頃から血圧の変動を気にすること
A定期的にCTをとって早期発見
・特に大動脈解離の症状としての「背中の痛み」を見逃さないこと→背中の“左側”の痛みに注意