高血圧治療の考え方
ホーム > 診療内容

1.河村循環器病クリニックにおける血圧の評価法
  急性心筋梗塞、心臓突然死、脳卒中は、血管内膜に形成されたプラーク(脂質コアの被膜が高血圧により機械的に亀裂が生じ、血小板などによる血栓が血管を閉塞するためです。 アテローム性血栓症と言われています。
  高血圧治療には、治療の目安となる日常生活における血圧の測定が重要です。 
  まず、家庭内血圧を測定する習慣が必要で, 起床時と寝る前に測定し、最高血圧、最低血圧、心拍数を血圧ノートに記録します。各個人の日頃の血圧の変動を理解することから始まります。
  特に、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)があり、有酸素運動により内臓脂肪を燃焼させなければならない人は、運動時のリスク判定が必要です。

 
河村循環器病クリニックの治療方針は、下記の安静時血圧、活動時血圧、運動時血圧の3つの条件下の血圧を測定し、患者の日常生活の活動状態を考慮した高血圧治療を行なっています。
 
1)家庭内血圧の測定
  起床後1時間以内の早朝血圧と就寝前血圧の2回測定を行い、安静時血圧の目安にします。この安静時血圧は、高血圧治療ガイドランの治療基準となります

2)日常活動の血圧の測定
 
診察室での外来血圧は、通常の日常生活での活動時血圧の目安にします。
  トレッドミル運動負荷装置を使用して、シュフィールド2段階運動強度(日常生活の活動時の運動強度の相当)の血圧を測定します。同時に脊椎ストレッチウォーキングのフォーム指導も行います。
  運動負荷時の血圧を150mmHgを治療目標としています。降圧薬を処方されている場合の適正血圧と判断します。

3)最大運動強度の血圧の測定
  年齢別最大心拍(=220ー年齢)の80%の心拍を一応の心拍到達目標とし、運動負荷を行います。最高の運動強度における血圧が200mmHgを超える場合を運動時高血圧と呼んでいます。
  運動時高血圧を示す患者には、運動時のリスクが高く、激しい運動は避け、ゆっくり、じっくりと行う有酸素運動を指導します。さらに運動前、中、後に水分(にがり水)を充分に摂取する安全管理の注意を行っています。
  河村循環器病クリニックでは、健康運動指導士が医師の監視下にて安全な運動限界を提示し、指導いたします。

2.患者・医師・運動指導者の3者がリスクを共有することが、安全管理の基本
拡大図
 
高血圧治療ガイドライン2014の改定ポイントは、家庭血圧計の普及が一般化し、家庭に1台の時代になったためです。 安静時血圧は、家庭での同一条件で測定できる信頼性の高い血圧です。

拡大図

3.生活習慣の修正項目( JSH 2004 ガイドラインを参考 )

1)食塩制限 6 g/日 以下、カリウム、マグネシウムの摂取
2)適正体重の維持
  標準体重 22×身長(m)2を超えない。
3) アルコール制限
  エタノールで男性は20〜30 g/日以下
        女性は10〜20 g/日以下
4)コレステロールや飽和脂肪酸を控える。
5)有酸素運動
  運動強度50%、
  毎日、30分程度の脊椎ストレッチウォーキング
6)禁煙

4.実際例:運動前後の血圧の変化とその経時的効果

  高血圧に対する運動療法
  運動前後の血圧測定を行うと興味のある所見が得られます。 定期的な有酸素運動を行うと、運動前の血圧と運動後の血圧との差が次第になくなってきます。
  高圧薬服用の有無に関われず、到達した血圧が現時点での達成血圧と判断できます。上記の例では、当初、160/80mmHgであった血圧が、運動にて120/70mmHgまで下がり、降圧薬の投与は必要ないと判断しました。

Top

Copyright(c), Tsuyoshi Kawamura, M.D.