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極端な糖質制限は遊離脂肪酸を増加させ、
心臓突然死の原因となる。


 遊離脂肪酸は細胞毒性(lipotoxicity)があり、心臓は遊離脂肪酸にて心筋の興奮性が亢進し、不整脈を誘発する。場合にとっては心室細動による心臓突然死の原因となる。



 
  最近、糖質制限ダイエットがはやっており、極端な糖質制限を実行している有名人の心臓突然死がニュースになっています。
  元来、日本人は欧米人と比べ血糖調節を行っているインスリンの分泌が少ないと言われており、糖質制限をすれば少ないインスリン分泌でも対応できるメリットがあります。
  最近の死亡例の共通点は、糖尿病治療目的に極端な糖質制限を行い、過度な減量を行っている点です。
  エネルギー代謝は、通常はブドウ糖と遊離脂肪酸がミトコンドリア内のTCA(クエン酸)回路に取り込まれ、ATP産生を行っています。過剰な血糖値の増加は、糖毒性(lipotoxicity)を示し、膵臓からのインスリン分泌にてコントロールされています。同様に過剰な遊離脂肪酸は、脂肪毒性(glucotoxicity)を示します。内臓脂肪、皮下脂肪の脂肪細胞内に中性脂肪として蓄積され、必要に応じて細胞膜内にあるHSL(ホルモン感受性リパーゼ)によりグリセロールと遊離脂肪酸に分解され、遊離脂肪酸を血液中に放出させる。
  ホルモン感受性リパーゼは、アドレナリンにより活性化し、インスリンは活性を抑制する。運動時には脂肪細胞から産生された遊離脂肪酸が適時、エネルギーとして供給されます
  極端な糖質制限を行うと、エネルギー代謝は遊離脂肪酸のみとなり、常に血液中には過剰な遊離脂肪酸が存在することになります。
  心臓は遊離脂肪酸にて心筋の興奮性が亢進し、不整脈を誘発する。場合によっては心室細動による心臓突然死の原因となります。
  心臓突然死の発症は、疫学的には午前中に多く、マラソン時に多いのが知られています。空腹時、マラソン時のエネルギー代謝は遊離脂肪酸であり、交感神経緊張状態の時に発症する共通点があります。
  兵庫県には五色浜に断食道場がありますが、断食中は主に丹田呼吸にて副交感神経を高め、運動は避けて心事故が起こらないように安全策がとられています。
  上記の図に示したように、過剰な遊離脂肪酸は、心筋梗塞の発症原因ではなく、心臓突然死の危険性を示しています。
  最近流行している糖質制限ダイエットは、対象者が肥満による糖尿病、高血圧、高脂血症などの心筋梗塞発症危険因子を有している人が多く、専門家による適切な医学指導を受ける必要があります。たまたま心筋梗塞になった時、糖質制限により血中遊離脂肪酸が高い場合に、心室細動に移行しやすいことを肝に銘じておくべきです。
 

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