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心肺蘇生時の呼吸生理の概念:死線期呼吸の考え方


  心停止直後から呼吸停止が起こり、時間経過と共に動脈血PO2は低下し、大動脈弓、頚動脈分岐部に存在する末梢性化学受容器が低酸素状態に反応して、延髄の呼吸中枢に最後の呼吸刺激を送る。これが死線期呼吸(あえぎ呼吸、下顎呼吸)と言われている
 
  正常循環では、延髄に存在する呼吸中枢による呼吸調節により動脈血は酸素分圧(PO2)90mmHg, 炭酸ガス分圧(PCO2)40mmHgが維持されている。
  心停止による循環停止により末梢組織の酸素供給がなくなり、組織代謝による炭酸ガスの産生がなくなることから動脈血のPCO2の低下が見られる。
  心停止直後から呼吸停止が起こり、時間経過と共に動脈血PO2は低下し、大動脈弓、頚動脈分岐部に存在する末梢性化学受容器が低酸素状態に反応して、延髄の呼吸中枢に最後の呼吸刺激を送る。これが死線期呼吸(あえぎ呼吸、下顎呼吸)と言われている。この時点は、低酸素脳症が、不可逆的脳障害を起こすかの分岐点である。
  心肺停止時に体内には酸素分圧90mmHgの酸素が残存しているが、人工呼吸を行わなければ10分が生命維持限界である。
  適切な心マッサージが有効かの判定は、最低限度の酸素供給がなされ、その結果産生される炭酸ガスがPCO2>20mmHgと言われており、AEDによる5分以内の除細動が行われれば、心拍が再開する可能性は高い。  しかしながら、除細動後に人工呼吸による酸素供給がなければ動脈血内の酸素はさらに減少し、人工呼吸あるいは自発呼吸の再開がなければ、低酸素状態は進行し、再度、心室細動に陥る。

 

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