ホーム> ミトコンドリア > ミトコンドリア代謝
熱中症対策の疑問にお答えします。


Q:熱中症の予防として、「点滴飲み」を推奨されていますが、水分とミネラルの補給は一時的な効果しかないというのはどのような意味合いなのでしょうか?
 
  脱水症状のある患者に対して医療の現場では、500ccの輸液を1時間かけてゆっくり点滴します。急速な輸液は、血液が薄まり血液内の晶質浸透圧の低下が見られ、脳下垂体から利尿ホルモンが分泌されます。 その結果、尿量が増加し、水分の補給が帳消しになります。この現象を水利尿と言います。
  熱中症予防に水分を飲む時には、時間をかけて、一口づつ、頻回に飲み、一気に飲まないようにする“点滴飲み”をお勧めします。
  十分に水分補給ができているかの目安は、2−3時間おきにトイレに行き、過剰な水分を排泄するのが正常です。トイレに行かないのはすでに脱水症のサインです。
 
Q. 熱中症の予防には水分とミネラルを含んだもののほうが良いということでしょうか? その理由を教えてください。
 
  ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムの電解質は、細胞内と細胞外ではその濃度が異なります。 細胞内にはマグネシウム、カリウムが多く、ナトリウムはわずかです。 細胞外の間質液と血管内血液では、ナトリウムが大半で、カリウム、マグネシウム、カルシウムはわずかです。
  細胞内外の電解質は、細胞膜を介した晶質浸透圧にてバランスが保たれています。
  発汗にて血液内から水分とナトリウムが失われます。 しかしながら、高血圧の原因に日頃の食事でのナトリウムの過剰摂取が言われており、大量の発汗によるナトリウム喪失の影響は少なく、むしろ、血液内から過剰なナトリウム排除ができる絶好の機会です。
  通常は水分摂取のみで問題はないが、大量の発汗にて同時にマグネシウムも喪失し、これが筋肉の痙攣(こむら返り)の原因となってます。マグネシウム入りの水“にがり水”を勧める所以です。
 
Q:激しい運動時や激しく汗をかいたときは、スポーツドリンクをどのくらいの量、頻度で飲むのがいいのでしょうか?
 
  激しい運動や激しく汗をかくことが多い人は、日頃から脱水予防を心がけ、汗をかかない状態で水1.5Lを午前中500cc、午後500cc、夕食後寝るまでに500ccを分けて、「点滴飲み」をする予防対策が必要です。さらに、夜間の脱水にも気をつけ、トイレ覚醒時には水分補給を欠かさないようにします。 夜中にトイレで目が覚めるほうが正常反応です。
  運動する前の準備として、500ccの水分を1時間かけて飲んでおくことがより安全です。
  運動中は30分ごとに休憩をとり、涼しい場所で500ccの水分を30分以上かけて“点滴飲み”をし、汗が収まるまで待つことが脱水予防になります。
 
Q:ミネラル麦茶は無糖のスポーツドリンクとして有効といわれますが、無糖でも運動時に飲むのは問題ないのでしょうか?糖が入っていたほうがいいということはありますか?
 
  市販されている飲料水は、スポーツドリンク、は経口補水液があります。
  スポーツドリンクは、糖質にて血液と同じ晶質浸透圧に調節しています。運動時に糖質補給になりますが、糖質がエネルギーとして利用されるには、膵臓からのインスリン分泌が必要で、頻繁に飲めば間食と同じになります。ペットボトル症候群と言われ、糖尿病の原因となります。
  経口補水液は、熱中症に対する点滴治療に使用される電解質輸液を経口にて補給する目的に使用されます。したがって、脱水症状が見られる場合に飲用するのは問題ないですが、予防的に飲むことはナトリウムの過剰摂取につながります。現在の食生活において、ナトリウムの過剰摂取が問題となっており、予防的飲用は勧められません。
  熱中症予防に最適な飲料水は、マグネシウム入りの麦茶、“にがり水”が安全かつ有用と思います。単なる水分補給が基本ですが、細胞内のマグネシウム補給は、細胞を活性化し、“夏バテ”防止にもつながります。

Q:“にがり水”の作り方を教えてください。
 
水1Lの中に市販されている「天海のにがり」(赤穂化成株式会社)20cc入れます。「天海のにがり」1cc中に10mgのマグネシウムが含まれおり、水1Lに200mgのマグネシウムが入ります。
  日本人の1日のマグネシウムの標準摂取量は300m−400mgと言われており、1日“にがり水”1.5L-2.0Lを摂取すればよいことになります。
  飲み方のコツは、午前中に500cc、午後に500cc、夕食後から寝るまでに500ccに分けてのみ、コンスタントにチビリチビリの“点滴飲み”が1日の基本になります。


Top

Copyright (C) 2018 Tsuyoshi Kawamura, M.D