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ホーム> 脳内老廃物の洗い出し機能:Glymphatic System 夜間脱水に注意 |
脳内組織には、他の組織で見られる通常のリンパ管はなく、脳脊髄液を間質内を還流して認知症の原因となるアミロイドβなどの老廃物を洗い出す仕組みが解明された。 アストロサイトの働きによるGlymphatic Systemと名付けられた。 |
脳内動脈・静脈は、脳軟膜上を走行しており、ほぼ直角下に分枝した穿通枝が脳実質内を環流している。 脳毛細血管のの内皮細胞は隙間なく配列され水分、ブドウ糖以外は通過できない血液・脳関門(Blood-Brain Barrier)が存在する。他の組織に見られるリンパ管がなく脳細胞間質内にたまったアミロイドβなどの老廃物を脳外に洗い出すことができない。 最近、通常のリンパ管に変わる脳脊髄液を環流するGlymphatic Systemが解明された。 拡大図 参考文献 脳細胞の中のアストロサイトが重要な役目を担っており、アストロサイトの終足が脳血管を円筒状に包み込み血管周囲腔を形成する。脳表面上の脳血管が血管に沿って深部まで脳脊髄液を流し込む役目を担っている。 アストロサイトの終足には、水分のみを通すアクアポリン4が多数存在し、細胞間質に水分を入れる。さらに、動脈側では、動脈拍動にて細胞間質に水を押し出すBulk Flow(細胞間隙流)もある。 細胞間質内では、流入した脳脊髄液が対流(convective flow)により神経細胞からの老廃物を攪拌し、アストロサイトの終足と終足との間隙から老廃物を静脈側の血管周囲腔へ流しだす仕組みになっている。 細胞間質内に多数存在するアストロサイトは、ノンレム睡眠時(睡眠導入から3時間)に容積が60%縮小し、それにより細胞内間質により多くの脳脊髄液が流れ込むことになる。 睡眠時に洗い出された老廃物は、脳硬膜内リンパ管を介して脳脊髄液から浄化される。 充分な睡眠と夜間脱水に気を付けて、寝る前、トイレ覚醒時に水分補給を心がけることが、脳内に蓄積した老廃物をより多く洗い出すことになり、認知予防につながると考えている。 |
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