糖尿病の運動療法の理論
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1.有酸素運動により内臓脂肪を燃焼させ、筋肉トレーニングにより筋肉量を増やす。 |
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2.インスリンの作用がなくても、筋肉内へのブドウ糖の取り込みは可能である。 |
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インスリンによる糖取り込みのメカニズムは,インスリン受容体にインスリンが結合すると,IRS蛋白がリン酸化されてPI3-キナーゼとのカップリングが起こり,糖の輸送担体であるGLUT4が細胞膜表面に移行(トランスロケーション)して糖が取り込まれると考えられています。 アンギオテンシンU(AII)受容体刺激がインスリン刺激と拮抗し,PI3-キナーゼ活性化を抑制,GLUT4の細胞膜表面への移行を抑制すると言われています。 内臓脂肪細胞に蓄積された中性脂肪が分解されて放出される遊離脂肪酸、内臓脂肪細胞から分泌されるTNF-αは、PI3 キナーゼ活性を抑制し、インスリン抵抗性の原因になります。 細胞での糖や脂質代謝の流れを調節する「代謝センサー」や「燃料ゲージ」とも呼ばれる酵素であるAMPK(AMP-activated protein kinase)は通常では運動や低酸素などで活性化されます。AMPKはGLUT4を細胞表面に移行させ、筋肉がエネルギーを作るために糖分を取り込んだり、脂肪を燃やす働きがあります。 ビグアナイド薬(メトホルミン)はこのAMPKを活性化し「運動疑似効果」を通じて骨格筋および肝臓での脂肪酸酸化を活発にし、糖代謝や高脂血症を改善し抗動脈硬化作用を発揮します。 内臓脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンの働きの一つに、筋肉や肝臓にあるAMPKを活性化させる働きがあることが知られています。したがって、有酸素運動にて内臓脂肪を減らすことがアディポネクチンの分泌量を増やすことになります。 運動のもう一つの効能に、血液中のブラジキニン濃度を高め、血管拡張により血圧を下げる効果があることは知られていますが、GLUT4の細胞膜表面に移行させる作用もあります。 ACE阻害薬はレニン・アンギオテンシン系に作用してAUの産生を抑制するのみならず、ブラジキニンの不活性化を抑制して血中ブラジキニン濃度を増加させます。 日本人は遺伝的にインスリン分泌量が少ない民族と言われています。 メタボリック・シンドロームの治療方針としてインスリンに依存しない糖代謝改善を第1優先とし、軽度の節食と有酸素運動を基本にし、筋肉トレーニングを加える生活習慣指導が河村循環器病クリニックの治療方針です。 もともと内臓脂肪の少ない人には、筋力トレーニングによる効果を観察し、ビグアナイド薬、ACE阻害薬を補助薬として使用することを考えています。 |
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メタボリックシンドロームと糖尿病との関係 | |||
インスリン抵抗性 |
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インクレチンは、食事を摂取したとき腸管(主に小腸)から血液中に分泌される消化管ホルモンの一種であり、GLP-1とGIPが分泌される。 GLP-1(glucagon-like peptide グルカゴン様ペプチド)は、小腸の下部から分泌され、膵臓β細胞からのインスリン*分泌を増加させり、膵臓α細胞からのグルカゴンの分泌を抑制して食後の血糖上昇を抑えます。<BR> これらの作用は、血糖依存性で、血糖値が上昇している時に作用し、血糖値が正常範囲内の時には作用しない理想的な血糖コントローラーです。 しかし、インクレチンは、分泌後にDPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)と呼ばれる分解酵素により速やかに分解され、生体内での活性を失います。新しい糖尿病薬のDDP-4阻害薬は分解阻害薬です。 GIP(glucose-dependent insulinotropic polypeptide グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)は、12指腸から分泌されますが、GLP-1ほどインスリン分泌刺激作用は強くはない。 DDP-4は、内臓脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの一つであることが判明しました。メタボリックシンドロームにおいて、インスリンの分泌を抑え、糖尿病の原因の一つです。 |
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